Concept
ハイゲインなヘビートーンとアコースティックな音の温かみを融合したギターを作れたら…そんなアイディアから生まれたギター”Symphony V”。
長年使用してきたソリッドボディーのフライングVギターをもとに、音の温かみを狙って、あえてソリッドボディーではなく、セミホロウを採用した。また、豊かなサウンドと本体強度を得るため、ネックは3ピースのメープルで、ボディーはマホガニーといった、ロックギターとして定番の木材を採用。さらにリッチなサスティーンを得るため大きめのヘッド形状も採用した。従来のフライングVモデルなどで問題となりえる、ハイポジションへのアクセスの悪さや、ホロウモデルならではのハウリングの問題などをクリアし、ウッドアクセサリー制作で培ってきた木工経験を全て注ぎ込んだ自信作のオリジナルギター。
Symphony V
1.ラフスケッチから設計図を作成


ラフスケッチから参考に設計図を作成。
求めているサウンドやプレイアビリティーを実現するためにラフスケッチをもとに設計図を組み上げていく。ネックやブリッジの仕様など、各パーツや取付加工に必要な寸法の調整を繰り返しながらデータを作成した。
2.厳選した木材



指板とトップ材は、木目が美しい希少木材をチョイス。指板はスネークウッド、トップ材はBuckeye Burl (トチ)でどちらも加工難易度が高い木材。ネックやボディーは、サウンドに直結するため、音の伝導率の良い柾目の木材を使用。
3.ザグリ加工


各パーツとホロウ部分のザグリ加工。
パーツのクリアランスと強度を全前背面で計算し、配線の通り道も加工する。
4.木材の弱点を補強


Buckeye Burl (トチ)は非常に強度が低いため、トップ材の下に強度のあるシマ黒檀を入れることで補強。Fホール加工でも不安のない強度を確保。また、バール材特有の穴はハーフクリアの赤色のレジンを流し込むことで、補強しつつ、杢が持つ本来の魅力を活かしたトップ材に仕上げることが出来た。
5.弾きやすさを追求したネックシェイプ


ネックはプレイアビリティを最大限引き出すためスルーネックを3ピースのバーズアイメープルで作成。
ネックシェイプはアシンメトリーにし、ボディ部分まで勾配加工し、さらにストラップピンの位置を見直すことで、従来のギターに比べ、ハイフレットでもストレスなく最適なポジションの確保を実現した。
6.スモールパーツも木材で制作


ピックアップカバー、バックプレート、ボリュームノブといった、スモールパーツやカバー類も厳選された木材で作成。ボリュームノブは、ヘッドなどと同じく、バール杢のウォールナットとレジンを組み合わせ杢を活かした仕上げとなっている。